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社会保険料はクレジットカード払いできる!法人が知っておきたい資金繰りテクニック

社会保険料はクレジットカード払いできる!法人が知っておきたい資金繰りテクニック

近年、社会保険の適用拡大が進み、多くの法人が新たに社会保険料の負担増に直面しています。とくに中小企業にとって、この負担は資金繰りを圧迫する大きな要因となりかねません。さまざまな税金でクレジットカードでの納付が可能になっている一方で、法人の社会保険料については、これまで現金や口座振替、電子納付などに限られていました。

そんな中、社会保険料の支払いにクレジットカードを利用できるサービスが登場し、注目を集めています。一部の代行サービスを利用することでクレジットカードでの支払いが可能になる方法です。

この仕組みを活用すれば、支払期日を柔軟にしたり、資金繰りを調整したりといったメリットが得られます。さらに、クレジットカード決済によってポイント還元の恩恵も受けられます。本稿では、法人の社会保険料をクレジットカードで支払う仕組みや具体的なメリットについて詳しく解説します。

ゆとりペイ

目次

社会保険適用拡大で多くの経営者が負担増に不安

社会保険の適用範囲が拡大されることにより、これまで社会保険の対象外だった法人も、新たに保険料の支払い義務が生じています。2024年10月に実施された社会保険の適用範囲拡大を受け、多くの中小企業経営者が経費負担の増加や手続きの煩雑さに不安を抱えているのが現状です。

とくに近年、人件費水準が急激に上昇しており、中小企業の固定費負担は著しく増大しています。社会保険の適用拡大による負担増に加え、人件費の上昇とそれに伴う社会保険料の増加は、経営のキャッシュフローに直接的な影響を及ぼします。こうした状況下で多くの経営者が資金繰りの改善や負担軽減策を模索しており、新たな支払い方法に対する関心が高まっています。

法人の一部社会保険料のクレカ払いに対応した民間サービス登場

これまで法人の社会保険料の支払いは、原則として口座振替や現金納付、銀行振込、Pay-easyなどに限定されており、クレジットカードでの納付は認められていませんでしたが、一部の社会保険料に限り、クレジットカード払いに対応した民間サービスが登場しています。

これらのサービスは「請求書カード払い」といった名称で提供されており、企業が納付書類をアップロードすると、サービス代行業者が法人の代わりに社会保険料を立て替えて支払います。企業はその立て替え分をクレジットカードで精算する仕組みです。このような清算方法の採用により、企業はクレジットカードの利用特典や支払い猶予期間を活用できるようになり、資金繰りの改善やポイント還元などのメリットを享受できます。

こうしたサービスは、現時点では一部の事業者のみに限定されていますが、資金繰りの改善や業務手続きの簡素化を実現する新しい選択肢として利用が広がっています。ただし、すべての社会保険料の支払いに対応しているわけではないため、利用前には対象となる保険料の種類を必ず確認しましょう。

ゆとりペイなら法人の社会保険料をクレカ払い可能

ゆとりペイ

法人の社会保険料をクレジットカードで支払えるサービスの一つにゆとりペイがあります。ゆとりペイは、健康保険料や厚生年金保険料など、法人が支払うべき社会保険料を立て替え払いするサービスです。企業はその立て替え費用をクレジットカードで決済できるため、キャッシュフローを調整できるメリットがあります。

利用手続きはオンラインで完結し、納付書のアップロードとクレジットカード番号の入力のみで、申込み当日から利用を始められるのが特徴です。VISA、Mastercard、JCBといった主要なカードブランドに対応しており、審査や書類提出が原則不要であるため、急ぎの支払いにも柔軟に対応できます。

このサービスを利用すれば、企業は社会保険料の支払いを最大で60日間延長できる可能性があります。売掛金の入金タイミングにずれがある場合でも、資金繰りに余裕を持たせられます。また、クレジットカードのポイントも貯まるため、実質的なコスト削減にもつながります。

ゆとりペイが収納できる保険料の種類は収納機関番号00500

ゆとりペイが対応している保険料の種類は、主に収納機関番号「00500」の納付書です。具体的には、厚生年金保険料、健康保険料(社会保険)、介護保険料の3種類で、これらは日本年金機構が発行する納付書に該当します。つまり、法人が毎月支払う社会保険料の多くがゆとりペイを通じてクレジットカードでの支払えることを意味します。

一方、雇用保険料や労災保険料といった労働保険料、あるいは市町村が徴収する国民健康保険料など、収納機関番号が異なる保険料についてはゆとりペイの対象外です。現時点でゆとりペイの支払い対象は収納機関番号00500の納付書に限られています。ただし、支払い対象範囲はサービスによって異なり、労働保険料の「00400」を支払えるサービスも存在します。

収納機関番号
収納機関番号とは、社会保険料や各種公的料金を電子納付(Pay-easyなど)で支払う際に必要となる番号のひとつです。納付書には「収納機関番号」「納付番号」「確認番号」の3つが記載されており、収納機関番号「00500」は日本年金機構、「00400」は厚生労働省 労働基準局を表します。

法人がクレカで社会保険料を支払うことの具体的なメリット

法人が社会保険料をクレジットカードで支払う場合の最大のメリットは、支払いサイクルにゆとりが生まれる点です。クレジットカードの締め日と口座引落日の差を活用すれば、最大60日程度、支払いを猶予できます。先延ばしにできればキャッシュフローの柔軟性が大きく向上し、手元の資金を他の急な支出や投資に回すことも可能です。

次に、クレジットカードのポイントやマイルを獲得できるのも大きな利点です。高額になりがちな社会保険料の支払いでポイントを貯めることで、コストの一部を実質的に回収できます。すでに保有しているクレジットカードを使う場合、原則として新たな審査が不要なため、すぐに利用を始められます。

資金が不足する可能性があっても支払期日に遅れることなく納付できるため、社会的信用にも影響しません。さらに、支払い履歴がクレジットカード明細に集約されることで、経費管理が簡素化されるメリットもあります。

それぞれ順に解説します。

支払いを最大60日延長して資金繰りを柔軟にできる

クレジットカード払いを利用する最大のメリットは、支払いを最大60日程度延長できる点です。社会保険料は毎月必ず発生する固定費であり、支払期日は厳格に定められています。現金や振込での支払いだと即座にキャッシュフローに影響が出てしまいますが、クレジットカードで支払えば、締め日で1ヶ月分の支払額が確定し、翌月の支払日に実際の引き落としが行われます。

そのため、月の締め日を過ぎた直後にクレジットカードで支払い処理を行えば、約30日後にその月の締め日が到来して請求が行われ、さらにその翌月に口座からの引き落としが行われます。カードの締め日と引落日の日程にもよりますが、この仕組みを調整することで最大60日近くの支払い猶予が生まれます。

本来ならすぐに現金で支払うべき負担を猶予できるため、この期間を売上入金や資金調達までの「つなぎ」として活用できます。資金繰りに柔軟性を持たせられる点は、中小企業の資金繰り改善策として非常に大きな意味を持つでしょう。

ポイント・マイルを獲得でき経費支出でも還元がある

社会保険料をクレジットカードで決済すると、その支払い額に応じてカード会社のポイントやマイルを獲得できます。通常、経費の支払いから直接的な利益は発生しませんが、社会保険料の負担が大きいほどポイント額も大きくなります。クレジットカードで支払うことで、その支出から間接的ながらも還元を得られるのが大きな利点です。

たとえば、還元率1%のクレジットカードで社会保険料を支払った場合、年間で数百万円の支払いであれば数万円分のポイントを獲得することも可能です。このポイントは備品購入に充てたり、出張の航空券や宿泊費をマイルで賄ったりするなど、さまざまな形で経費削減や福利厚生に役立てられます。さらに、高額な利用実績が積み重なることで、クレジットカードの与信枠(利用限度額)が拡大するといった派生的なメリットも期待できます。

このように、キャッシュフローから単純に支出するだけだった社会保険料の支払いをクレジットカードに切り替えることで、実質的なコスト削減につながります。企業の社会保険料は大きな固定支出であるため、ポイント還元は負担を軽減する有効な手段となり得るでしょう。

滞納リスクを回避して差押え・信用低下のリスクを軽減

社会保険料の納付は企業にとって重要な義務であり、納付期限は厳格に定められています。もし滞納が続けば、延滞金が発生するだけでなく、最終的には公的機関による銀行預金、売掛金、不動産などの財産が差押えられ、強制執行に至る可能性があります。

とくに、企業の信用情報に悪影響が及ぶと、金融機関からの融資審査や、新たな取引先との契約において不利に働く可能性もあります。これは企業の信頼性そのものにかかわる問題です。仮にキャッシュフローに不安がある時期でも社会保険料の支払いは最優先で対応しなければなりません。大きな負担である社会保険料の納付をクレジットカード払いに切り替えれば、処理忘れも防ぎ、確実に納付できます。

納付期限が過ぎた場合は?
社会保険料の納付期限は厳格に定められているため、納付期限を過ぎてしまった社会保険料は原則としてクレジットカード決済代行サービスの利用ができません。ただし、ゆとりペイなどの一部のサービスは、納期限を過ぎた支払いにも対応しています。もし納付が遅れる可能性が出てきた場合は、早期に代行サービスの利用を検討しましょう。一定の支払い猶予が生まれれば、一時的な資金不足にも対応できます。代行手数料はかかるものの、滞納による延滞金や信用低下のリスクに比べれば低コストです。銀行融資やビジネスローン、ファクタリングといった他の資金調達手段と比べてもコストは抑えられ、手続きの時間も短縮できます。

実際に納付に遅れる場合は、速やかに管轄の年金事務所(健康保険・厚生年金の場合)や労働局(雇用保険・労災保険の場合)に相談しましょう。

ローンやファクタリングと比較して低コストで使いやすい仕組み

法人の資金繰り改善策として、銀行ローンやファクタリングの利用が挙げられますが、これらは審査や手数料負担、手続きの煩雑さが大きな課題でした。一方、社会保険料のクレジットカード決済は、手数料が比較的安価で、サービス申込みから利用開始までのスピードも速いのが特徴です。

従来の資金調達方法と比べてみると、銀行ローンは審査に時間がかかり、担保や保証人が必要となるケースもあります。ファクタリングは売掛金を早期に現金化できるメリットはあるものの、手数料が比較的高額になる傾向があります。

スクロールできます
比較項目請求書カード払い(ゆとりペイ)ファクタリングビジネスローン
手数料2.9%(非課税)
※最低支払手数料990円
10〜30%程度数%〜
個人間取引の請求書ご利用可能
※適格請求書発行事業者に限る
ご利用不可-
利用可能額カードの利用限度額内売掛金の70〜90%程度数十万〜
書類提出不要
※法人のアカウント申込時は不要
個人事業主は本人確認書類が必要
本人確認書類
商業登記簿謄本
取引先との契約書
取引先との請求書
直近数ヶ月の入出金明細
決算書や確定申告書等
本人確認書類
商業登記簿謄本
納税証明
書事業計画書
返済計画書決算書や確定申告等
取引先への通知なしあり(3社間の場合)なし
振込日数最短即日最短即日数週間〜数ヶ月程度

これに対し、社会保険料のクレジットカード払いは、すでに所有しているクレジットカードを利用するため導入までのスピードが速く、手数料も比較的安価に抑えられます。また、資金調達のための新たな審査ではなく、クレジットカード入会時の審査で完了します。担保や保証人も不要で、カードの利用範囲内であれば必要な時に何度でも利用できます。日常的な資金調達手段として、手軽さと総コストの安さが両立しているといえるでしょう。社会保険料のクレジットカード払いは、従来の資金調達方法と比較して、低コストで使いやすい仕組みです。

それぞれ順に解説します。

手数料は代行サービスごとに異なるが全体的に安価

クレジットカード決済代行サービスの手数料は利用先によって異なりますが、一般的に2%〜4%程度に設定されています。この手数料は銀行ローンやファクタリングといった他の資金調達手段と比べて比較的安価です。たとえばファクタリングの手数料が数%〜20%以上になることもあるのに比べ、代行サービスであれば費用を抑えられます。

また、クレジットカードのポイント還元を考慮すると、実質的な負担はさらに軽減される可能性があります。ポイント還元があれば手数料の実質的なコスト感はさらに低くなる計算です。

多くの代行サービスでは、初期費用や月額固定費が発生しない従量課金制を採用しており、利用したい時だけ手数料を支払う形です。そのため、サービスを選ぶ際は、自社の支払額や利用頻度、クレジットカードのポイント還元率も考慮し、総合的なコストバランスで検討するのがおすすめです。

原則書類審査・面談不要でスピード導入できる点が強み

社会保険料のクレジットカード払いサービスは、原則として書類審査や面談が不要で、スピーディーに導入できる点が大きな強みです。従来の資金調達手段である銀行融資などは複雑な書類提出や面談が必要で、資金調達までに数週間から数ヶ月かかることも珍しくありません。しかし、多くの代行サービスはオンライン完結型を採用しており、原則として書類審査や面談が不要です。また、ローンやファクタリングの申込みのような時間的・心理的な負担も小さく済みます。繰り返し利用できる点もメリットです。

すでに利用しているクレジットカードと連携させる方法であれば新たな審査が不要なケースが多く、申込んでから数日程度で利用を開始できる可能性があります。さらに、納付書のアップロードと基本情報の入力のみで、申込み当日に利用可能な代行サービスもあるため、急な資金繰り悪化に対応したい場合などに非常に有効な手段となり得ます。

法人の社会保険料クレジットカード払いに関するよくある質問

社会保険料のクレジットカード払いに関しては、「どの社会保険料が対象となるのか」「誰が利用できるのか」「滞納した納付書も対象なのか」といった疑問が多く寄せられています。ここでは、利用を検討する際に気になる主要な質問についてわかりやすく解説します。導入前に自社の体制や支払方式を十分に確認し、トラブルのない適切な運用を心がけましょう。

どんな社会保険料でもクレジットカード払いできますか?

すべての社会保険料がクレジットカード払い対応ではありません。

現状、クレジットカード決済代行サービスでの支払いに対応しているのは、主に日本年金機構が発行する収納機関番号「00500」の納付書に記載された保険料に限られています。具体的には、厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料などがこれに該当します。

一方、雇用保険料や労災保険料といった労働保険料、あるいは市区町村が徴収する国民健康保険料などは、通常、クレジットカード払いの対象外です。個人が自治体に支払う国民健康保険料は多くの自治体でクレジットカード払いが可能ですが、企業が従業員のために支払う健康保険料については、決済代行サービスを利用するときを除いてクレジットカードでの直接納付は認められていません。

クレジットカード払いの利用を検討する際は、納付書に記載されている収納機関番号や保険料の種類が、利用したいサービスに対応しているかを必ず確認しましょう。

誰でも社会保険料クレジットカード払いを利用できますか?

社会保険料のクレジットカード払いサービスは、原則として法人であれば利用が可能です。ただし、サービス提供会社によっては、設立年数や資本金、代表者の信用情報など、独自の利用条件を設けている場合があるので注意が必要です。

また、実際に支払いを行う際は、企業名義のクレジットカードが必要です。カード名義については、法人名義、あるいは会社代表者の個人名義、どちらでも対応可能なサービスが増えていますが、名義の指定がないかを事前に確認しましょう。前述の「ゆとりペイ」では、代表者の個人名義のクレジットカードでも利用が可能です。

また、クレジットカードには利用限度額があります。限度額を超える金額は利用できないため、事前にクレジットカードの利用限度額や、その月の利用予定額を確認してください。他の支払いもあるため限度額を超える可能性がある場合は、事前にクレジットカード会社で増額の相談が必要なケースもあります。サービス提供会社の利用規約を確認し、申込み前に必要な準備を整えておくことが重要です。

納付期限が過ぎてしまった納付書の支払いはできますか?

納付期限が過ぎてしまった社会保険料の納付書でも、「ゆとりペイ」のように対応可能としている代行サービスも一部存在します。しかし、社会保険料の納付期限は厳格に定められているため、多くの代行サービスは納付期限内の支払いを前提としています。

期限を過ぎると督促状が発行されたり、延滞金が発生したりする可能性が高まります。利用できるサービスはあるとはいえ、期限までに支払うのが原則である点に注意しましょう。

もし納付期限が過ぎてしまった場合は、速やかに管轄の機関(日本年金機構など)に連絡し、支払い方法について相談してください。滞納が続くと延滞金が発生するだけでなく、最悪の場合、差押えや信用低下につながるリスクもあります。

社会保険料は納期遅れに細心の注意を払い、余裕を持って支払いや代行サービスの申込み、利用手続きを行うことが重要です。

運営者情報

ゆとりペイは、請求書の銀行振込をクレジットカードで決済可能にするBtoB決済サービスです。業界最低水準の決済手数料2.9%(非課税)。支払者向け、請求者向けそれぞれに決済機能を提供しており、VISA、Mastercard、JCBブランドがご利用いただけます。

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