経営が順調であれば、売上の入金後に支払日が来る安定したサイクルで継続できます。しかし、売上が落ちたり、入金がなかったりすると、十分な資金がなく、期日に支払えない状況が生まれます。
資金繰りについてはどの経営者も、「資金繰りを改善する方法はないか」「一時的に資金不足になった場合の対策はないか」などの悩みを抱えているのではないでしょうか。
そこで本記事では、資金繰りを改善する方法としてクレジットカードに注目し、改善方法と注意点についてわかりやすく解説します。長く事業を続けていくために必要となることもありますので、ぜひ参考にしてください。
クレジットカードで資金繰りを改善する基本的な仕組み
事業経営が長いほど、支払時期に資金が不足して、資金繰りに困る人は多くなります。支払日は定期的に訪れる一方、売上の入金は数か月後になり、回収が遅れると、資金ショートを起こす可能性があります。
このようなキャッシュフローに対して柔軟性を与えてくれるのがクレジットカードです。ここでは、クレジットカードで資金繰りを改善する基本的な仕組みについて解説します。
それぞれ順に解説します。
支払猶予期間を活用して資金ショートを防ぐ
法人向けクレジットカードや個人向けクレジットカードは、後払いです。取引先とカード決済すれば、取引先への振込日期限までに、クレジットカード会社から取引先に取引額が支払われます。法人や個人事業主がクレジットカード会社に支払うのは1か月後ですので、支払猶予期間が生まれ、資金ショートを防ぐことができます。
なぜ、支払猶予期間が必要なのでしょうか。長くビジネスをしていると、売上の入金と経費の支払いのタイミングにより、資金不足が発生することがあります。数日待てば入金があるのに、タイミングのずれで資金ショートしてしまうと、悔やんでも悔やみきれません。このような状況に柔軟に対応できます。
分割払いやリボ払いで一時的に資金を確保する
前述したように、クレジットカードを使うことで、短期的な資金繰りを改善でき、資金ショートを防げます。ただし、クレジットカードを使っても、返済は1か月後に訪れますので、支払猶予期間としては短いケースがあります。また、1か月後にはまとまった資金が必要となれば、支払いが重複し、さらに資金悪化する恐れもあります。
この場合、クレジットカードの機能である、分割払いやリボ払いに変更することで、将来的な支払額を分散することができます。利用する場合は、分割払いとリボ払いの特徴を理解し、支払える範囲内で活用しなければなりません。
「分割払い」は利用ごとに支払回数を指定し支払う方法です。一方、「リボ払い」は利用金額や利用件数にかかわらず、毎月の支払いを一定額にする方法です。分割払いは支払回数を指定でき、リボ払いは支払金額を指定できるという違いもあります。分割払いやリボ払いを併用することで、さらに柔軟性のある資金繰りを実現できます。
法人カードで経費精算と運転資金管理を効率化する
法人カードは、企業や個人事業主向けのクレジットカードで、中小企業の従業員向けカード(ビジネスカード)や大企業の従業員向けカード(コーポレートカード)があります。経費管理のためのクレジットカードとして、カード決済することで、煩雑な管理になりがちな出張費用や経費を一元化・見える化できるメリットがあります。
法人カードは、個人カードとは異なり、法人の経営実績や財務状況、代表者個人の信用情報なども審査対象となりますが、事業目的に合わせて利用枠が広く、上限額が高い傾向にあります。法人カードを上手に活用することで、「キャッシュフローの改善」「経費削減」「業務効率化」「ガバナンスの強化」などに期待できます。
クレジットカードを使った資金繰り改善の代表的な方法
クレジットカードで資金繰りに幅を持たせる基本的な仕組みについて解説しました。では、具体的に、どのような方法で資金繰りを改善できるのでしょうか。ここでは、以下の3つの代表的な方法を紹介します。
一つひとつ具体的な改善方法を見ていきましょう。
仕入れや経費をカード決済して支払いを先延ばしする
クレジットカード決済で、仕入れや経費の支払日を遅らせ、資金繰りを改善することができます。
たとえば、月末に50万円の支払いを控えているが、売上の入金は来月を待たなければならないケースです。支払いを遅らせてもらうことはできるかもしれませんが、今後の取引に影響が出てしまい、売上が減少してしまう恐れがあります。取引先との信頼関係は維持したいところです。
このような場合、クレジットカードを利用すれば、50万円の支払いをクレジットカード決済し、売上の入金があってからカード会社に支払うことができます。支払方法にクレジットカードを追加することで、資金繰りに柔軟性が生まれます。
キャッシュレス決済で売上入金サイクルを安定させる
クレジットカードの活用は、支払いだけでなく、売上入金でも有効です。取引先からの代金の受け取りを、キャッシュレス決済にすることで、売上が即時に入金されます。場合によっては売掛金回収に時間や費用がかかるリスクも考えると、売上を早期回収できる効果があります。
キャッシュレス決済の手段は、クレジットカードだけでなく、電子マネーなど複数あるため、さまざまな決済手段を併用することで、幅広い取引に対応できます。
このようにキャッシュレス決済を活用することで、入金のタイミングに柔軟性が生まれ、売上入金サイクルを安定させることができます。
請求書カード払いサービスで支払期日を柔軟に調整する
資金繰り改善には、クレジットカードだけでなく、請求書カード払いも有効です。請求書カード払いとは、比較的新しい支払方法で、振込予定の請求書をカードで支払えるサービスです。
クレジットカードでも資金繰りに使えますが、カード会社から借り入れをするため、利息を払わなければなりません。請求カード払いでも手数料はかかり、サービスによって手数料は異なりますが、利用金額の3%程度と借入利息よりも低いため、費用負担を抑えられます。
請求書カード払いサービスのひとつである「ゆとりペイ」について、次章で詳しく解説します。
クレジットカードの資金繰りでゆとりペイが最適な理由

クレジットカードの資金繰りでは、「ゆとりペイ」が最適です。ゆとりペイは、企業間の支払いで余裕を生むことができるBtoB決済サービスです。ここでは、以下の3つに絞って、「ゆとりペイ」が最適な理由をまとめます。
それぞれ順に解説します。
銀行融資やファクタリングより低コストで利用できる
「ゆとりペイ」は、銀行融資やファクタリングより低コストで利用できます。初期費用や月額費用などの費用負担はなく、かかるのは決済時の手数料のみです。しかも、業界最安値の手数料2.9%(非課税・最低手数料990円)となっており、ポイント還元を受けられるクレジットカードであれば、ポイントやマイルを貯められます。
ファクタリングの手数料は10~20%程度、ビジネスローンは1%~15%程度となっていますので、費用負担を抑えながら利用できます。低コストだからこそ、ゆとりペイが企業間の支払いに最適な方法となります。
支払いを最大60日延長して資金繰りの自由度を高める
「ゆとりペイ」は、取引先への支払いはゆとりペイが行い、法人・個人事業主はあとでゆとりペイに返済する仕組みです。つまり、請求書の支払いをカードで決済できる仕組みです。支払い期限は最大60日間まで延長できますので、その期間がゆとりとなり、キャッシュフローを改善できます。
支払い延長となるのはクレジットカードのみで、カード決済により手数料を含めた振込金額をゆとりペイに支払い(実際の支払いは後日)、ゆとりペイは最短即日で取引先の口座に振込金額を振り込みます。この際、ゆとりペイからの支払いであることは取引先に通知されません。
法人・個人事業主が利用可能で審査もスピーディー
ゆとりペイは、利用までの期間が短い点も最適な理由です。ファクタリングやビジネスローンの場合、「本人確認書類」「商業登記簿謄本」「取引先との契約書」「決算書や確定申告書」「事業計画書・返済計画書」などさまざまな書類を提出する必要があります。
一方、ゆとりペイでは、法人のアカウント申込に書類は不要で、個人事業主のみ本人確認書類の提出が必要です。結果として、導入時の事務負担を大きく軽減できます。ゆとりペイは無料で新規登録でき、入力した情報で審査を実施し、最短即日で利用可能です。
クレジットカード資金繰りのリスクと注意すべき失敗例
クレジットカードで資金繰りを改善する方法を紹介しました。クレジットカードによる資金繰り改善は効果的で、大きな助けとなります。しかし一方で、クレジットカードを使うことのリスクや注意すべき点もあります。
ここでは、以下の失敗例について詳しく解説します。
リボ払いや高金利利用は返済負担が大きくなるリスク
資金繰りにクレジットカードを使いますが、1回払いや2回払いでの利用に限定すれば問題ありません。しかし、クレジットカードの後払いでの返済も厳しく、分割払いやリボ払いを多用してしまうと、利息手数料の負担が重くなり、クレジットカードの返済が困難になる可能性があります。
クレジットカードを利用する場合は、売上入金のサイクルも早めてクレジットカードだけに頼らない体制を整えることが大切です。売上が下がると、クレジットカードの返済も厳しくなりますので、計画的に活用しましょう。
カード枠に依存しすぎると資金計画が崩れる危険がある
クレジットカードによる返済に慣れてくると、クレジットカードなしでは、資金繰りができなくなる恐れがあります。
クレジットカードや請求書カード払いで支払日を遅らせると、30日後や60日後になります。たとえば、毎月50万円の支払いがあり、クレジットカードを利用し30日後の支払いとすると、30日後には100万円の支払金額となります。本来の50万円とクレジットカードの50万円を一括で支払えればいいですが、難しい場合は、分割払いやリボ払いにより返済負担が増えてしまいます。
このようにクレジットカードに依存しすぎると、カード返済によるサイクルが習慣化してしまい、資金繰りの柔軟性が損なわれる結果となります。クレジットカードによる返済計画・資金計画を立て、資金繰りが悪化しないように注意しましょう。
延滞や支払遅延で信用情報に傷がつくリスクがある
クレジットカードによる返済を多用し、依存度が高まっている状態で、売上が落ちたり、売上入金が遅れたりすると、カード返済日に返済できなくなる可能性が高まります。返済日や金額の勘違いなどでたまたま延滞するのではなく、何度も延滞や支払遅延を繰り返していると、信用情報に傷がつくことがあります。
信用情報が傷つくと、今後、金融機関からの融資やクレジットカードの新規発行などで審査が厳しくなる可能性があります。重要な時期に資金が準備できず、企業成長にブレーキがかかることも考えられます。法人カードは上限額が高めに設定されていますので、複数の従業員でカードを使う場合は特に、計画的に利用するようにしましょう。
クレジットカードの資金繰りに関するよくある質問
ここまで、クレジットカードで資金繰りを改善する基本的な仕組みや具体的な方法、注意点などを解説してきました。ここでは、クレジットカードの資金繰りに関するよくある質問を紹介し、理解度を深めていきます。
- ゆとりペイは個人事業主でも利用できますか?
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ゆとりペイは、法人だけでなく、個人事業主も利用できます。申し込み時に、本人確認書類の提出を求められますが、基本的に法人と同じように利用できます。個人間取引の請求書も対応していますが、適格請求書発行事業者に限られます。
- 法人カードと個人カードでは資金繰り効果に違いはある?
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法人カードは、事業で使用することを前提としたカードで、個人カードと比較すると、「カード枠が大きい(上限額が高い)」「従業員向けに複数のカードを発行できる」などの違いがあります。カードによっては、支払方法は一括払いしかありません。また、年会費がかかるのが一般的です。
- 資金繰り改善には銀行融資とカード活用どちらが有利?
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それぞれメリットとデメリットがあり、一概にどちらが有利とは言えません。一般的に、カード活用は銀行融資と比べると融資額は小さいですが、審査から融資までスピーディーです。また、銀行融資よりも金利は高めで、申込時に担保や保証人は不要です。
- クレジットカード債権ファクタリングとは何でしょうか?
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クレジットカード債権とは、おもにクレジットカードが使える店舗や事業者が保有している債権です。顧客がカード決済した代金について店舗はすぐに受け取れません。代金を受け取るまでは、カード会社に請求権を保有していることになります。一方、ファクタリングとは、その請求権を売却し、早期の資金化を図る資金調達手段のひとつです。